モントリオールで就職したい、でも、日本人でも就職先はあるのだろうか?と疑問に思っている方がいると思う。今回はワーキングホリデーの場合や、PEQでケベック州の高等教育機関を卒業した後、PGWP(卒業者労働許可証)を取った場合など、こちらでの就職活動の際に知っておくとよい情報について共有したいと思う。
目次
モントリオールで日本人の求人はあるの?
モントリオールは、カナダの他の大都市に比べると、日本人が少ない。トロントやバンクーバーなら、日本人をターゲットとした商売も成り立ちそうだが、ここモントリオールにはそれはほぼない。
でも、日本人の数が少ないということは、日本語がネイティブとして話せることはかなり特殊な特技になる。日本語が必要な仕事は少ないが、応募できる人の数も他都市に比べると圧倒的に少ない、ということだ。
私がここに来た2016年と比較すると、レストランその他の日系のお店など日本に多少関連のあるようなサービスは増えていると思う。
例えば海外に来た時、一番手っ取り早い日本食レストランでの仕事。最近日本食レストランの数が増えてきているので、日系の求人情報などでも、レストランの求人はひっきりなしに見かけるようになった。サーバー(ウェイター等)の場合は、英語とフランス語両方を求められることも多いが、キッチンだと英仏どちらかでOKだったり、日本語だけでもOKな場合もある。他にも日系のカフェや、ケーキ屋さんなども求人を見かける。
ちなみに、日系ではない飲食業は、ほとんどフランス語が必要だ。ただしこちらも裏方だったら、あまり流暢である必要はないので、そちらから応募する方がいいかも知れない。
その他にも、私もお世話になっているゲーム関係の仕事は、日本語ができる人を常に採用している。この場合、求められるのは日本語と英語。トレーニングや社内でのコミュニケーション、資料等は英語で、仕事上日本のマーケット向けの仕事をするため日本語が必要となる。現在私の会社でもカスタマーサポート職で日本人を絶賛募集中らしい。メールで苦情に対応するので、決して楽な仕事ではないが、エントリーレベルの仕事でゲーム関連の職に就きたいと思っている方がいたら、紹介できるので、詳細を知りたい方はぜひご連絡を。
フランス語の必要性
フランス語圏であるモントリオールだから、フランス語ができないと就職できないか、と思われるが、必ずしもそうではない。ポイントは、国際企業を狙ったり、外国人をターゲットにしたビジネスの場合、フランス語がそこまで必要ではないことや、場合によっては全く不要なこともある。
例えば、ゲームの機能テスター、言語テスター、日本人ユーザーサポート職、英日ローカライザー(翻訳者)の場合、フランス語は全く求められないようだ。そして、ゲーム業界はケベック州も力を入れて企業誘致しているためか、ゲーム系の求人は結構多い。
あと、意外なところで一般事務職でも、職場によってはフランス語が必要ない職場がある。国際企業の場合などや、データエントリーの仕事、英語のカスタマーサポートなどもそれに当たる。
他にもIT系のスペシャリスト、例えばプログラマーなどの場合、フランス語が全く必要ないところもあるようだ。しかし、環境は会社によって異なり、大手でも地元の会社の場合、ミーティングで英語仏語ミックスで自分の得意な方をそれぞれが話しながら会議が進むところもあるらしい。求人情報を見ると、French Required (フランス語必須)となっているか、French preferred (フランス語ができる方が望ましい)となっているかで、その会社の状況がある程度判断できる。
また、しばさん(友人…ご存じない方は”しばフラ”でググってねw)の様な社内のコンピュータサポートの仕事は、地元の人も多く相手にしなければならない。参考まで、彼女のところの社員の場合英語でコンタクトしてくる社員は全体の2~3割くらいだそうだ。といっても英語しかできない人は1割くらいだそう。フランス語でコンタクトしてくる場合でも英仏両方話せる人も多いらしい。彼女の会社はインタビュー自体がフランス語だったので、やはりフランス語はできる前提であることは間違いない。
今までに出会った人たちの職種について
それでは、私がこちらに来てから出会った日本人の方の職種を思いつく限り列挙していこうと思う。ただし、その方たちはそれぞれビザのステイタスが違う。ワーホリやPEQのプロセス中の方たちだけでなく、すでに永住権を取得している方もいる。
日本食レストランシェフ/サーバー/キッチン担当
日本食品卸業者
パティシエ
パン職人
販売員
ゲームサポート
ゲームテスター
ゲームローカライザー
システムエンジニア
プログラマー
CGスペシャリスト
コンピュータサポート
コールセンターエージェント
CNCスペシャリスト
医師
薬剤師
看護師
美容師
理学療法士
音楽療法士
整体師
研究者
会計士/経理部勤務
銀行勤務
通訳者
翻訳者
格闘家
旅行ガイド
留学コンサルタント
ビジネスコンサルタント
語学学校職員
日本語講師
ミュージシャン
アーティスト
このような職に就いている日本人の方に、モントリオールでお目にかかったことがある。こうして並べてみると、多くはなくても結構色々な仕事をしている方がいると思う。ただし、自分の思い通りの就職ができている人ばかりではない。海外で地元の人達と同じような職に就こうとすれば、やはり相当優秀でなければ職を得ることは難しい。また、最初の職から自分の専門に入れる人ばかりではなく、数年かけてやっと自分のやりたい仕事に就いたという人もよく見かける。
また、医療系の仕事は、ケベックで働く場合、ケベック州のライセンスが必要だったり、高いフランス語力を求められる。
わたしは、自分にはそのような専門スキルがないことはわかっていたので、最初から日本語を使える仕事に絞って就職活動を行っていたが、やはり日本語が必要な仕事は圧倒的に少ないので、日本人が集中し、競争率は高くなりがちだ。
話がちょっと逸れるが、もし、起業という選択肢もあるなら、日本のものをカナダに紹介するような形のビジネスはいろいろ考えられるんじゃないかなと思う…が、永住権が得られるまでは、無難に就職しておく方がやっぱり安全かも知れない。PGWPで自営業で活動することは可能で、友人にも自営業者がいる。でも、自営業でPGWPの後のワークパーミットの更新が可能かどうかは、今のところ検証できていない。(どなたかご存知でしたら、ご一報ください。)
LMIA(Labour Market Impact Assessment)
ワーホリや、ケベック州の指定学校でコースを学んだ後のオープンワークパーミット(雇用主が限定されないという意味でオープン)を持っている人の場合は関係がないが、そうでない場合で労働許可証を取得するには、LMIAと言うものが必要になる。LMIAはクローズド(パーミットに雇用主名が記入されている、雇用主ありきの労働許可)のワークパーミットを取得する際に、カナダ人の職を奪うことにならないかを確認するためのアセスメントだ。外国人が就職する前に、一定期間求人を広告して、カナダ人が見つけられなかったことを証明しないと、外国人にその職を与えることができない仕組みになっている。
LMIAは結構な時間がかかる(数カ月単位)ので、余裕をもってパーミット更新の準備をスタートする必要がある。
PEQと永住権申請中のワークビザ更新
PEQで学校を卒業後に取得できるPGWP(Post Graduate Work Permit)は、オープンワークパーミットなので、LMIAは必要ない。また、PGWPが期間切れになる前に、既にCSQを取得している場合は、LMIAを免除された形でクローズドパーミットに切り替えが可能だ。この件についてはケベック州のサイトで詳細が確認できる。
ケベック州の賃金
ケベック州の現在の最低賃金は、時給で12.50ドルだ。これで週40時間のフルタイムの場合、税引き前の給与で月額2160ドルほどになる。ほとんどの会社が2週間に1度給与を支給するから、2週間分で1080ドルが最低の給与になる。ここから、税金その他が差し引かれる。天引き額は会社がグループ保険に加入しているかどうかなどにもよるが、保険を含まない場合でおよそ25%くらい差し引かれる。
職業別の給与についてはindeedというサイトでも確認できる。求人でも、給与が明記されているものも見かける。時給での表示の場合と、年俸で表示の場合がある。
求人の探し方
わたしは、以下のサイトで求職した。
indeed …自分で検索条件を設定して、関連の求人があったらメール受信することが可能。
kijiji …地元密着の仕事を探すにはここ。
e-Maple …(日系)日本語で仕事を探すにはここが一番。特にレストランの求人などは多い。
Linkedin …アカウントを作ってこれまでの職歴をプロフィールに入れておくと、関連企業から引き合いが来る。
ちなみに、カナダでは、応募しても第一選考に残らなければ連絡は来ない。また、インタビューをした後でも落ちていれば連絡をもらえないこともある。気になる求人があったら、ダメ元でとりあえず履歴書を送ってみた方がいいかも知れない。
あと、よく言われているのは、こちらは本当にコネ社会なので、自分のお目当ての会社があったら、そこにもう入っている人に推薦してもらうのが一番いいようだ。外国人でアウェイの状態で、そんなにコネなんてないかも知れないが、友人の友人くらいでも頼める人がいればお願いした方が面接に呼んでもらえる可能性は上がるようだ。
PEQでPGWP取得~CSQ申請中の方へ
この期間、週30時間以上の仕事についていることは、CSQ取得に有利と思われるため、できる限りは申請前に仕事を得て少しでも税金を納めておこう。就職する場合にフルタイムと言うと普通は1日8時間、週40時間のイメージがあるが、「週30時間」が移民局の規定として「フルタイム」とみなされる最低基準だ。過去に、就職をしていなくてもCSQを取得できた人ももちろんいるので、就職は必須ではないのかもしれない。でも、CSQの審査基準が明確でないため、できる限りマイナス要素を潰しておくために、就職をしておくことをお勧めする。これは、私自身がCSQのインタビューで呼ばれた時に、一番追及された質問だったからというのもある。特に年齢が高かったせいもあるのだろうが、カナダで働いて税金を納める意思があることをアピールするのは有利だと思う。
まとめ
今回は、モントリオールでの就職事情について、思いついたことを共有してみた。この話題については本当にまだまだ書ききれない。もしも、何か他にも質問があったら、コメント欄に入れといていただければ、わたしのわかることであればお答えしたいと思う。
また、私が就職活動をしていた時の記事は旧ブログの方にもあるのでご参考まで。↓
本日のカバー写真 : こちらは、我が家の近所にあるフィールド。気持ちいいくらい何もない原っぱで、その先(左端奥)にダウンタウンが見える。こんなに広くて走るのに最適なのに、動物立ち入り禁止の看板が出ていて、本当に残念!これからは益々アウトドアが楽しくなる季節。先週末は、友人宅で今年初のバーベキューを楽しんだ。ちょっと寒かったけど、気分だけはすっかり夏モードだ。
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カナダ情報&モントリオール情報、フランス語情報など、週に一回程度、プラス他の方の経験談など折々投稿して、PEQの生の声を伝えていきたく思っています。もしこの情報を伝えてあげたいご友人やご家族がいたら、どうぞご自由にシェアしてください。
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ハローちえこさん
ハローcocoさん!初コメントありがとうございます。 :)