写真は、最近の日課になっている夜のお散歩時に撮影したもの。こんな信じられないくらい美しい景色や、蛍の飛び交う場所が、家から徒歩で数分のところにある。こういう場所を、娘と歩きながら語り合ったり、フランス語で話す練習したり、散歩の時間は、本当に豊かな時間だ。
今、週に3日、近所のチャリティショップでボランティアしていることを前にブログに書いた。ここには、私以外に4人のケベコワ女性が働いている。みなさん、多分私よりも人生の先輩らしい。
この店を仕切っているLさんは、過去に50年も仕事の経験があるという。寄付された商品の値決め、その週のスペシャルの企画を考えたり、ディスプレイを考えたりと、小さいお店ながら彼女のコンセプトで店の個性が決まっている。お客さんたちが、
「この店はいつも何か新しいものが入っているし、お品もいいものがあるから、しょっちゅうチェックしているのよ。」
などと言っているのを何度か聞いた。かくいう私も、リサイクルショップが大好きで色々な店に行くが、このお店は前から好きだった。ちょっと自分のテイストよりは年齢層が上の感じはするし、ものによっては値段がちょっと高いようなこともあるけれど、店に入ると必ず誰かが声をかけてくれる。大きな店とは違って、コミュニケーションがあるし、ボランティアの人がとても親切なのだ。それに、スペシャルになっているカテゴリーの商品がものすごく安い。例えば今は、洋服1枚3ドル、4枚で10ドルというスペシャルで在庫を処分している。中にはほとんど着ていないような程度のいい服や、ブランド物なども紛れ込んでいる。それに、ガラス製品が安くて美しいものが多い。
Lさんは、ちょっと厳しくて、こわい時もある。お店は自分が仕切るという気概があるので、彼女のコンセプトに合わないような服をマネキンに着せてだめだしされるスタッフもいる。でも、お店というのは、このような一貫性というか個性がある方が絶対にいいと思う。だめだしされたSさんが、
「彼女のテイストに合わせないとだめだから、何飾っていいかわかんないわ。難しいわ。」
と早めにこっそりこぼしてくれたおかげで、Lさんのディスプレイの癖をしばらく観察しようと思いついた。それで法則が分かった。
1.入り口近くのよく見えるマネキン2体には、クラッシーでちょっと値が張るドレス系なものを飾る。ここは、完全に私の意表を突いた、派手な、ちょっと時代に合わないようなものが置いてあるので、私はここはノータッチにすると決めた。(笑)多分、Lさんがここはお店の顔と判断しているっぽい。神エリアは神が決めるに限る。だから、もしここのドレスが売れてもマネキンは裸のまま放っておく。
2.それ以外の各コーナーにあるボディだけのディスプレイマネキンは、「近くのもの同士、色を統一している。」そして、その時の季節感に合った、カジュアルなものを飾っているので、ここは私でもできると判断した。色だけは気を付け、ここには若いテイストで、なるべく程度がよくなるべく人気のブランドのトップスなどを探してきて飾るようにした。私は今のところ直接にダメ出しはされていないが、彼女のテイストに合わなかったことがあったらしく、2度ほど、翌日別のものに代わっていたことがあった(笑)でも、その後はめったに変えられることもない。ちなみにSさんは、とっても素朴で正直者な感じの女性。多分、自分の服装にもあまり気を使っていないラフな感じだから、ディスプレイについてもあまり気取らずに目の前にあるものをそのままかけてしまって失敗しちゃったのだろう(笑)
私にディスプレイを変えるよう、いつも勧めてくれるのは、ボランティアの中で一番おしゃれのセンスが抜群なRさん。彼女は4人の中で一番明るくて、お客さんにもゆっくりじっくり付き合うし、子供や動物にも優しい。彼女は、本当ならディスプレイなんて自分でセンス良くできるのに、
R「PEQ、あなたは本当にコーディネートが上手よね。ほら、あそこのマネキン、また空いてるから何か探してみてくれる?」
などと私を励まして、仕事を作ってくれる。
R「ほら、お水飲んだ?水は大事よ。」
R「(新しく入った麦藁帽をかぶって)見て~。私踊っちゃう♪」
と、常にふざけておどけたり、よく話しかけてくれる。彼女は本当は英語も堪能なのだが、辛抱強くフランス語で話し続けてくれるのも本当にありがたい。実は、何か単語がわからない時などでも英語に訳さないので、もう完全に英語ができない人なのかと思いこんでいたら、実はペラペラだったのを先日確認した。アングロフォンのお客さんに英語で話していた。私のためにフランス語だけにしてくれているんだとわかった。彼女は大変綺麗好きで、商品の磨きなどもしょっちゅうやっている。
ホントにいい人で、大好きだ。
最後のUさんは、肝っ玉母さんな感じの、ショートの銀髪がとっても似合うかっこいいおばちゃんだ。彼女も本当は英語ができるが、常に私にフランス語を教えようとしてくれる。先日は、お客さんに声掛けするための今日のお得情報の説明の口上を教えてくれた。
これらの仲間たちに一生懸命何かを伝えることが、フランス語の勉強になっていることは間違いないが、彼女たちが話している時にじーっと聞いて、ケベコワアクセントのシャワーを浴びるのも、なかなか楽しい。学校では決して学べないディープな世界が展開している。彼女たちは本当におしゃべり好きだ。そして、常にユーモアを忘れない。皆さん、仕事や子育てを終えた後の年代で、いい感じの余裕があり、とても親切で気のいい人ばかりだ。
それだけではない。このお店には、ケベコワを始め、スペイン語訛りの人、中国語訛りの人英語訛りの人など、色々なフランス語話者がやってくる。そして、そんなお客さんたちから、
「あなたはここで働いてるの?ああ、それじゃ、xxx△△△???****」と、思いっきりフランス語で話しかけられるようになってきた。最初は、フランス語が始まった途端に、
「ああ、ちょっと待ってくださいね。」とすかさず他のボランティアに助けを呼んでいたが、最近は、まず自分でわかるのかどうか、聞いてみることに。今日は、3歳の息子のパンツを探している男性のために、一緒にお見立てをした。ちょっとフランス語で話しながらだ!自分でもびっくり。
また、おまけとして、今日は中国人らしいおじさんがやってきた。私はこのおじさんに見覚えがあった。彼は前に、水筒を下げられるウェストポーチみたいなバッグを買っていった。今日は小さなアメニティポーチみたいなバッグを物色していた。
Rさんがこのおじさんにフランス語で今日のお得品スペシャルの説明をしたが、きょとんとしているので、Rさんが困って、
「PEQ、あなたこの人の国の言葉、話せるかしら?」と聞いてきた。いや、普通無理だけどね(笑)
主人が中華系マレーシア人にもかかわらず、そして二人の娘が中華小学校出身にもかかわらず、私の中国語はトーンがめちゃめちゃだし、挨拶程度なのだが、せめておじさんに今日のお得情報だけでも中国語で伝えようと、単語を必死で思い出そうとするのだが、「洋服、4枚で10ドル」という3語でさえ、言おうとすると頭の中にフランス語がつっかかっている感じで、以前当たり前に知っていた単語が浮かんでこなかった。きっと、フランス語も中国語も、脳の中の「外国語セクション」に入ってしまってて、中国語がフランス語で上書きされてるのかも。やっとの思いで、「衣服、四件、十塊」と変なトーンながら言ってみると、おじさんが北京語ではない方言らしきもので「そんなものは興味ないんだよ~」みたいなことを言っている風だった(笑)仕方なく、今度は拙いフランス語で、Rさんに伝えた。「彼は、洋服はいらないんですって。多分前にも小さなバッグを買っていったから、またバッグを見たいんだと思いますよ。」そしておじさんは、さらによくわからないけどいかにも「今日はただ見てるだけで何も買う気ないんだよ」らしきことをなんかの方言で言い放って去っていった。
うーん、なんか、ちょっと楽しいなあ(笑)やっぱり、こういう何気ないいろんなお客さんとのやり取りが楽しいんだよね。フランス語も中国語も、もっと話せたらさらに楽しくなるだろうね。