PEQ Montreal
モントリオールで親子留学・海外就職・永住全部目指すブログ
フランス語学習

フランス語クラス始動!その2

写真は、Dorvalで昼休みに川沿いを散歩した時に見かけたかわいいガチョウ?の親子。

前回の話はこちら

さて、レベルが上がっていなくても割りとあっさり証書を出してくれるというPEQ希望者向けのフランス語コースに入った私だったが、予想に反して先生が本当に話せるようになるようなレッスンをしてくれ、本当にラッキーだと大喜びでレッスンに通っていた。2週目に入った時、先生が今週の木曜日にペーパーテスト、翌週月曜日にオーラルテストがあるという。私以外の子達は、レベル1からの持ち上がりのため、このクラスのコミュニカティブで教科書をほとんど使わない方式に戸惑っていた。彼らは、発音を改めようともしないし、下手すると先生に質問されて全部英語で答えてしまう子も1人いた。私1人だけ、ニコニコしながら一番前でレッスンを受けている、たった一人みんなの母親みたいな生徒だけが、ものすごいやる気を出してフランス語で話そうとしているのを、先生も感じ取ってくれていた。

テストが近くなって、ある生徒が質問した。

韓国人のかわいい女子生徒 「先生はどうして教科書を使わないんですか?」

先生「学校から指定されている項目は守ってカバーしているけど、教科書では全てをカバーしきれないので、他の教材も使っています。」

韓国女子「前のレベルでは教科書の順番で習っていました。今は、テストが近いのに、終わらせていないページだらけです。教科書どおりにやってくれませんか?」

先生「でも、どうせやるなら、話せるようになりたいでしょう?そのためには教科書だけでは足りないのよ。」

韓国女子「わたしは、修了証が欲しいんです。フランス語が話したいんじゃありません。」

先生「…..(呆然)」

先生はすがるように私の方を見た。

先生「あなたはどう思う?」

私「(クラスの中に私と同じ考えの人はいないし、思ったままを言ったら理解されず、逆に反感を買うんじゃないかな?わたしが彼らの側に立っていた方が、後で説得がしやすいかも…)

私は先生のレッスンが大好きなんですけど、彼女たちの気持ちもわかるんです。みんな、証書が欲しくてここにきていて、テストに不合格になるわけには行かないんです…)」

気の毒に先生は唯一自分の味方だろうと思っていた私も加勢しなかったので、少しうろたえていたが、さすがプロ、気を取り直して、見事に教科書を使ってレッスンをやり遂げた。ただ、やはりこの教科書は自習には最適なんだが、入れ替え練習中心のとても退屈なものなので、今までみたいなダイナミックな感じがほとんどなくなってしまった。

危機だよね、これは?

何をしてくれるんだ~~!わたしのパラダイスを取り上げないで。(涙)

レッスンが終わり、先生の気持ちを考えると、わたしもつらくなってきた。何であの時さっと、先生のために立ち上がらなかったんだろう?いつも自分は大人だからと仲裁役みたいな態度を取ってしまう。もっと自分の考えを表に出してもよかったのに…

これはメールを書くしかないよ。誤解を解こう。わたしがどれだけ先生のクラスを気に入っているか、伝えないと、クラスがひどいことになってみんなにとっても長い目で見たらいいことないし。

そのメールは、私にとっては初めての、ラブレターみたいな内容になった。

Dear M,

あなたはもう感じているとは思うけど、私は、あなたのクラスが大好きです。
家族も、ハウスメイト達も私のカレッジの親友もあなたが素晴らしい先生だと知っているの。それは私があなたの最初のレッスンを受けたすぐ翌日にみんなに話したからです。
あなたはダイナミックで、元気で、私たちがフランス語を学び楽しく話せるようになってほしいと思ってくれている。
今まで、色々なところで学生になる機会があったし、語学学校にもたくさん行ったことがあります。そして、自分が教えた経験もあります。だから、あなたみたいにやる気があって教え方を知っている先生に巡り合うのが、どれだけ難しいかも知っています。
他の生徒たちが気にしているのは試験に合格できるかどうかなので、どんな項目がテストされるか、詳細を書いたものをみんなに提示してあげたらいいんじゃないかしら?そうすれば、彼らはもっと安心できます。彼らは今、復習すること(ページ数)が多すぎてパニックになっているから。
実は、クラスが始まる前に私、みんなを説得しようとしていたんです。たった1週間の間に、あなたたち、少なくともフランス語を話そうと努力し始めたじゃないのって。それはものすごい進歩なんだよって。(PEQ注:これは実際にそうだった。レッスンの前に生徒たちが文句を言っていたことが何度かあったので、一人ひとりと短いながらも話してみたりしていた。特にかわいい韓国女子は顔は甘いけど考え方が一直線なので、しかも英語も苦手なので、コミュニケーションが難しいんだけど、でも、会話練習のパートナーになった時などに地道に説得していた。)わたしは、彼らがただ証書だけを追うことによって、こんな素晴らしい機会を失うかもしれないことに気づいていないのを、気の毒に思っています。
他にも伝えたいことはたくさんありますが、あなたの時間を取りすぎてもいけないので、ここで。あなたが私たちをあきらめないことを祈っています。
あなたのファンより
このラブレターもどきのメールを送って、翌日にM先生から返事をもらった。先生はメールをもらって嬉しかったと、そして私が先生のレッスンを気に入ったと聞いてハッピーだと書いていた。でも、昨日は本当にびっくりしたけどクラスのマジョリティが望んでいることが、自分の考えと合っていないので、そこは私が調整(適合)しなければいけないと書いていた。
このメールをもらい、さて、明日からどんなクラスになるのかな、と少し心配になった。やっぱり教科書に沿って、ポイントははずさないけど刺激の少ない感じに収まるんだろうな、寂しいな…
で、翌日。
なんとこの人は、前よりも一段と熱の入った、ダイナミックな、コミュニカティブな感じで攻めてきた。でも、今回からは時々、教科書に戻ってエクササイズをする。そして、休憩時間を使って、会話練習とか、聞き取り、発音がフランス語習得にどれだけ重要なことかを、生徒たちに一生懸命伝えようとしていた。
この人、器がでかいわ。
で、テストのカバー範囲、文法項目についても、しっかり板書して、復習をみっちりやってくれた。生徒たちが、少しずつ変わってきた。
一番面白かったのが、オーラルテストの日だ。今まで、少しでも後ろの席に行って、眠くて頭をカクンカクンさせていたかわいい韓国女子と、発音矯正がまるで聞かない中国女子、そして英語で答えてしまう中国ボーイが、私の指定席の一番前を占拠しているではないか!(笑)まるで、先生の言うことを一言でも聞き漏らすまい、って感じで、意気込みが凄くなっている。私も負けずに、たった一つ残った一番前の席に座ったので、一番前だけ激込みで、後ろに広々と席が空いているという、なんかコミカルな空間ができていた。
オーラルのテストは1人1人10分くらいずつ、前の先生のところに行って、自己紹介と、3つのグラマーポイントを使って何かを話す、先生と会話する、という内容。
先生が「先にやりたい人?」と聞くと、みんなシーンと静まり返り、みんな一番乗りは避けたそうだ。
先生「PEQ、あなたはどう?」
私「OK!」
先生「(みんなに向かって、)絶対PEQからスタートになるって、予想はしてたんだけどね、うふふ。」
他の人がオーラルを受けている間、後の生徒はペアでオーラルテストの練習をするよう指示されていたが、もちろんみんなはオーラルテストがどんな感じになるのか知りたいから、私のセッションをかぶりつきで見ることは想像がついた。
私は思った。これはチャンスだ、と。
ここで、先生と本当に楽しく会話していることをデモできたら、みんな、(あれ、あのくらいならなんか私でもできそうだし、なんか楽しそうだな)って思ってくれないかと。
そこで、わたしは、テストに合格するということを考えたら、余計なことは言わない方が減点がなくなるのだが、むしろクラスで先生が使っていた普段使いの相槌などをできる限りいれて、いえる事が限られているながらも、テストではなくコミュニケーション、相手と話したいから話すんだという方向で話した。疑問詞を使った質問をする場面では、なるべく簡単な「兄弟がいますか?」みたいなことじゃなくて、「なぜベジタリアンになったんですか?」「あなたが次のレベルでも私たちを教えてくれますか?」という、自分が本当に関心がある質問をしようと試みたが、自分のレベルではスムースに質問を作ることができず、ボロボロになった。でも、先生は私の質問を察してくれて、返事をしてくれた。
とってもなごやかな感じでインタビューが終わり、先生からは「大分会話の流れができてきたわね。」とのコメントをいただき、大満足。
私の番が終わり、次はかわいい韓国ちゃんの番になった。そこで先生が残りの人に、
「待ってる間、PEQと会話の練習をしていたい人は、今がチャンスじゃない?」といったら、
中国女子と中国ボーイがサーっと詰め掛けてきて、みんなでテストのリハーサルをした。くふふ。あなたたち、かわいいとこあるね。(笑)
そんなこんなでテストが終わり、みんな精神状態が落ち着いてきたらしく、こんな話になった。
かわいい韓国女子 「最初に先生のクラスを受けた時は、何が起こっているのかさっぱりわからなかったけど、最近先生の言ってることがだんだんわかるようになりました。」
中国女子 「わたしも」
先生 「一生懸命聞こうとすれば、だんだん聞けるようになるものよね。」
私と先生、一緒にウンウンとうなずいて微笑み合う。やっとここまで来たね!
(一応完結…だといいなあ)

 

ABOUT ME
ちえ子
カナダ在住。モントリオールで日本語教師とゲーム業界での仕事の二足のわらじで活動中。高校生、大学生との親子留学→PEQ(ケベック経験プログラム)で永住権取得。TOEIC 960点、実用英語検定1級、フランス語公式テストTEFAQB2合格。過去にクアラルンプール(マレーシア)で通訳、ロンドン(英国)で商社勤務経験あり。趣味はジャズヴォーカル、City Pop(1970-1980年代日本のニューミュージック)、コメディ映画鑑賞。イチ推し芸人はオードリー若林さん。

POSTED COMMENT

  1. Damayanti より:

    わお!!
    PEQさんのお話,ドキドキしながら読んでしまいました。
    お会いしたことないのに先生のファンになってしまいそうです!!
    今年秋からモントリオールに行くかもしれないので,フランス語の学校を調べているのですが,語学を学ぶならあんな先生のいらっしゃるところで習いたい!!ですね。
    引き続き素晴らしいフランス語のクラス Enjoyなさる事を願ってます♡

    • ちえこ より:

      Damayantiさんへ

      お時間使ってコメントいただき感謝です。モントリオールにいらっしゃるかもしれないのですね。とっても素敵なところですよ。私の先生はいつまで続けてくれるのか予想がつかないですが(今までの経験上、こういう先生はどんどん新しいチャンスに恵まれて動くことが多い気がするので)とにかく、彼女に教わる時間を大切にしたいと思っています。本当に恵まれているなあと思います。
      Damayantiさんのモントリオール滞在が素敵なものになりますように!

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