Une baguette, s’il vous plaît! （フランスパン、一つください。）

マレーシアの最後の2ヶ月間、やるぞーと思って始めたフランス語だったが、大海に繰り出す小船のように情報量に圧倒されるわ、何度聞いても単語が頭に残らないわ、しかも頭に音が残ってもスペルを忘れるわで、とても不安な気持ちでいた。たくさん聞けば聞くほど、（わたしこんなに覚えきれるのかなあ？）と弱気になる。

しかし、わたしはこういう時の特効薬を知っている。それは、”break it down” （分解する）ということだ。自信がつくまで、情報の量を極端に制限する。そして、細かく分けて、絶対にわかると感じられる一口サイズで飲み込む。

このメソッドは、上の娘がまだ4歳の頃のピアノの先生から教わった（勝手に盗んだともいう、）とてもシンプルで強力な手法だ。例えば、「メリーさんの羊」でミ～～レドレミ・ミ・ミ～が弾けなかったら、

まず、ミ・ミ・ミ～を弾く。

で、次にドレミ・ミ・ミ～と弾く。

で、ミ～～レドと弾く。

最後につなげる。

と分解すると、誰でも自信を持って弾けるようになるのだ。

単純なことなのに、音大も出ているような先生のレベルからすると、（何でこんな単純なことができないの？）とできない意味がわからないため、頭からすらすらと全部を弾く練習を繰り返させようとする。生徒が、それで自信をなくしてしまうことが、本当によくある。この分解することを当たり前のようにしてくれる先生は、なかなかいない。優秀な先生ほど気づかないことが多い。（娘の先生は優秀かつ教えるのが上手かったという例外だ。）

フランス語に戻るが、まさに、この分解をしっかりしてくれる教材を見つけた。自信を取り戻すのに格好の教材だ。それは、French Pod 101という、オンラインの教材で、基本の部分は無料で利用できる。ただし、媒介語は日本語ではなく、英語。おしゃれなラジオのDJ風のレッスン、文化的背景も教えてくれる上に、1レッスン目からしっかりフランス語を話させてくれる。本当によくできているし、何より楽しい♪

この初めのレッスンで出てきたのが、標題のUne baguette, s’il vous plaît! （フランスパン、一つください。）なんと役に立つ表現だろう（笑）ベーカリーを見かけたら、絶対使ってやろうとそわそわしてしまった。そして、先日GareCentraleの駅構内のおしゃれなベーカリーで、実行しましたよ。

”Une baguette, s’il vous plaît.” （フランスパン、一つください。）

そしたら、”X$%#^*()OXO***&%%%^&*?”とフランス語でペラペラに話しかけられた。凍ったら、相手はすぐに英語に切り替えてくれた。モントリオールではそのままフランス語で続行にはならないのが残念だが…

でも、ちゃんとわたしのフランス語は通じていて、無事に戦利品を手にすることができた。かなりうれしい。その記念すべきバゲットが上の写真。

この分解作戦以外にも、今回のフランス語マスターには今までとは違う戦術で「とにかくしゃべる式」で攻めている。15分～20分ほどの間、スカイプでネイティブと、とにかくなるべくフランス語で話す。これが、抱腹絶倒な内容で、音声をシェアできないのが残念だ。（爆）

とにかく何一つわからないのだが、とりあえず、”Je suis desole.” （すみません）”Je ne comprends pas.”（わかりません） ” Pouvez-vous l’écrire s’il vous plait ?”（書いていただけませんか？）を全力で投入する。そして力技で会話を続ける。

先日のレッスンでは、先生が「宝くじが当たり急にお金をもらったら、どうしますか、何を買いますか？」という質問をされたが、そんな高度な質問わかるわけもなかった。仕方なく先生が英語に訳してくれた。わたしは、家といいたかったが、単語が浮かばず、苦し紛れに”Domain.（領土…英語だけど）”と叫ぶ。先生が　une maisonだよ。と直す。いやだ、メゾン知ってるやん！と悔しい。そこで先生、家族にもお金を分けてあげるでしょうね、と一言。ここで、人を笑わせるのに命かける根性がむくむくと湧き上がり、”Oui, un petit peu!”とすかさずいってみた。

先生は大爆笑。そこだけ間伐いれずに答えたのが面白かったんでしょう。わたしも溜飲が下がった（笑）やっぱり会話は笑いがないとね。

＊　”Oui, un petit peu!”=Yes, just a little bit.