PEQ Montreal
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ひとりごと的つぶやき

Yoasobi『夜に駆ける』、小説とのミックスメディアが大成功した例。。。(ネタバレ注意)

Yoasobiの『夜に駆ける』、最初にこの曲を聴いたのは、娘に付き合って観た、あるyoutuberたちの「歌ってみた」で、ものすごい高音をどれだけ歌えるかっていうお遊びの動画だった。もちろんそれでは本家の良さはまったくわからず、この曲の第一印象は「カラオケで歌えないくらい高音」ってことだけだった。

それを見た後に何度か娘が本来のアーティスト、YOASOBIのMVを見せてくれて、でも実際にへぇって思ったのは最近HOME TAKE(今流行っているワンテイクだけのシリーズ)の方を見たときだった。それでやっと、このボーカルの人上手いなあって思ったんだけど、色んな曲を娘が聴いてるのをなんとなく聞く中で、この曲は飛び抜けて中毒性がある。気づいたら鼻歌で歌ってしまう。(歌詞を覚えていないから鼻歌しかできないんだけど)

そして、ある日もう一度しっかりとMVを観た。とてもきれいなアートチックなアニメーションなんだけど、ちょっとコワイようなテイスト、でも最後の方はちょっと力強く明るく終わっている。女の子もやっと笑うし、良かったね…と思っていた。そうしたら、今日娘に、「あの歌、ハッピーエンドじゃないよ」って言われた。「え?|最後はあの女の子も笑ってるし、やっと心が通じて、二人で手をつないでこれからがんばるって歌だよね?」というと、娘が「私が観てるボーカルコーチのYoutuberが言うには、違うんだってさ。」とのこと。前から娘に聞いていたんだけど、このYoasobiというグループは、小説をベースにして曲を作るらしい。その小説は昔で言うショート・ショートくらいの長さで、一曲聞くのと同じくらいの時間で読めてしまう。あの曲がハッピーエンドじゃないって、あれはカップルがお別れする曲には聴こえなかったけどなあ、じゃ、そのYoutuberの話を聞くより、小説を読んでみようってことになった。

娘は、日本語だと英語や中国語ほど深く読み込めないので、小説読むのはちょっと面倒だからいいやっていう。そこで、どうしても一緒に体験したい私は、自分が朗読しながら読むことを提案した。

そうしたら、曲では小説がネタバレしないように、程よくオブラートに包んでいた部分が、小説に出てくる…読んでない人はこの記事はこの先読まずに、先に小説を読むことを心からおすすめする。せっかくだからこの新しいミックスメディアを堪能してみてほしい。

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ネタバレ注意

実は、タイトルの意味や、最初の方で貼ってあるいくつかの「?」っていう感じの伏線も徐々にはっきりと雲が晴れたように明らかになっていく。小説は『タナトスの誘惑』と題されているけど、このタナトスに魅了されていたのは誰だったのかが、最後に明らかになる。

この話は、実は二人で明日に向かって駆け出していく話ではない。二人で手を取って満ち足りて死んでいくストーリーだった…ヒャー…鳥肌がすごい…歌詞の方では直接的なネタバラシをしていなくて、でもよく読んだらそっち以外には聴こえないという二重構造も本当によく考え抜かれてる。このミックスメディアのインパクトの強烈なこと。小説を読んだ後に曲に戻ると、本当に鳥肌が収まらない。

今は、小説もこんなに短くなって人を飽きさせずに心を動かすことができるんだな。しかもその余韻を音楽でずっと楽しめるなんて。誰が思いついたのか知らないが、ほんと面白い趣向。

https://www.youtube.com/watch?v=x8VYWazR5mE

小説はこちらで。

https://monogatary.com/episode/33827

追記: なんでこの小説にこれほどインパクトを感じたのか、もう一度よく考えてみた。この小説の初めで、この主人公はもう「彼女」と出会っている。だからこそ、読み手は、最初から無意識に安心させられている。この壊れそうな危うい彼女にも、支えて励ましてくれる人ができたのだ。この話はきっと最後はハッピー・エンディングなんじゃないかという期待を持ってしまう。でも後半の方で、実は彼にとって彼女が死神だったんだ。死に惹かれていたのは彼の方だったんだ…って気がついた瞬間に、すべての風景が変わってしまう。

この人、実は独りぼっちだったんだ…

いやー、書いていてまた鳥肌、立ってきました。

私は多分タナトスを死ぬほど恐れている方のタイプなんだと思う…

久しぶりにめちゃめちゃ文章を書きたい気持ちになった…

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ABOUT ME
ちえ子
カナダ在住。モントリオールで日本語教師とゲーム業界での仕事の二足のわらじで活動中。高校生、大学生との親子留学→PEQ(ケベック経験プログラム)で永住権取得。TOEIC 960点、実用英語検定1級、フランス語公式テストTEFAQB2合格。過去にクアラルンプール(マレーシア)で通訳、ロンドン(英国)で商社勤務経験あり。趣味はジャズヴォーカル、City Pop(1970-1980年代日本のニューミュージック)、コメディ映画鑑賞。イチ推し芸人はオードリー若林さん。
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