PEQ Montreal
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親子留学

強制終了 – カナダの高校生活もやっぱり色々ある!

下の娘は16歳の高校生、ここケベック州の呼び方だと、セカンダリースクールと言って中高一貫の5年制の学校の学生だ。好き嫌いがはっきりしている割に、昔から誰に似たのか、人から頼まれるとなかなかイヤとは言えない性格だ。そして、人からやたら頼まれごとやお悩み相談を持ち掛けられやすいタイプの子だw。おしゃべりな母親に鍛えられたのか、人の話をしっかり聞くから貴重がられているのかも知れない。聞き上手は間違いなく私譲りではないけどねw

娘の掛け持ちクラブ活動

私と違って体を動かさずにはいられないタイプの子で、スポーツが得意らしい。カナダの高校は日本の様な部活動で一つのアクティビティだけをするのではなく、季節によって開催されるアクティビティが変わる。娘の場合、冬はバトミントン、バスケットボールなどに駆り出されていた。

ここしばらくはこれまた先生にご指名されてフラグフットボール部に入っていた。フットボールというのはサッカーのことではなく、アメリカンフットボールをもっと安全なルールに変えたような競技で、相手にボディタッチするのは禁止で、タックル代わりにお腰につけたリボンを取るというルールの様だ。クラブと言っても活動は週に1回程度なので、日本の部活の様な濃さはない。

フラグフットボール

娘は、バトミントンやバスケだったらマレーシアでもやっていたので、呼ばれれば気軽に参加していたが、このフラグフットボールは「なんかあまりやりたくないんだけど、先生が『君、入りなさい』って何回も言うんだよね。」と気が進まない様子だった。「自分で決めればいいけどせっかく先生が言ってくれてるのならやってみれば?頼りにされてるんでしょ。ありがたいことじゃないの。本当にできないんならしょうがないけど…」と私は言っていたが、部活に関してはほとんど本人の意思で決めさせているので、あまり干渉しなかった。

そうしたら先日、「ママ、先生がフットボール用のスパイクシューズを用意しなさいって言ってるんだけど…」という。「シューズって、これからずっと続けるならいいけど、本当にやるの?ちょっとやってみるだけなら普通のスポーツシューズで何とかできないの?それとも学校でシューズ借りたりできないの?」と私は渋い反応をしてしまったw。なぜかというと、過去にもバスケシューズ、バトミントンシューズ、他にも通学用として変に規則の細かい、ドレスシューズなるわけのわからないシューズを買わされている。シーズン毎にちょこちょこ違うシューズが必要になり、経費もバカにならないからだ。

そうしたら、一旦お願いをひっこめた娘だったが、ある日急に外から電話してきて「ママ、先生から明日の試合にどうしてもスパイクシューズを買って来いと言われてるんだけど、XXXというお店で、子供用だけど私のサイズで安くなっているのを見つけたから買っていい?」と言う。明日試合なのに、慣れない靴で参加というのはほんとに何か間違っているなと思ったけど、値段が思っていたよりもずっと手頃だったしw、それに靴がないと出られないのなら仕方がないか、と許可した。

まさかの退部?

そして翌日。娘が試合から帰ってきて、なんとフラグフットボールを辞めたいと言う。まず(今日一日しか出番のないシューズはどうすんだ?!)とわめきたい衝動をググっとこらえてw、何があったか聞いてみると、色々驚きの情報が出てきた。

娘「私はね、最初から先生に『私は参加したくありません』って言ったの。全然興味がなくって。理由はね、『きっとやればやるほどフットボールが嫌いになりそうだから』(正直すぎるけど…笑)とはっきり伝えたの。でもね、先生は『まずは試しにやってみてごらんよ。いやだって思ったらいつでも辞めていいから。でもきっとフットボールが好きになるよ』って言ったの。そして、何度も”It’s up to you though.”(でも、決めるのは君次第だけどね)って言ったの。それで嫌だけどトライしてみたの。でも、やってみても好きになれなかった。今日試合に行ったけど、私たちルールを教わってなかったのね。」
PEQ「え、どういうこと?練習でルール教えてもらえないの?」
娘「先生が、ルールよりも基礎練習が大事だと言って、基礎練習やってて。それでゲームの時、前からフットボールをやっていた友達以外、誰も試合での動き方がわからなくてぼーっとしちゃったの。先生がその日にルールを教えてくれたけど、慣れてないじゃん?だからみんな動けなくて。」

試合に行くまでルールを知らず…

なんとも驚きの事実。試合に行くまで試合のルールを知らないってあり得るのだろうか?(と書きながら、あり得るかもなあ…と思うのはカナダに3年いるからなんだけどw結構色々な場面で場当たり的な対応があるから)先生は、元はナショナルチームにいた人らしいが、フラグフットボールのルールくらい簡単だから、一度も試合してなくてもすぐできると思ったのだろうか…そんなわけないよね?

娘「それで、私はもう試してみて、試合にも今日出てそれでもやっぱりやりたくないから、先生にそう言ったんだけど、結局いろいろ言われちゃって辞めさせてくれないの。でも私本当に辞めたいんだ。試合もあと何回あるか、次がいつあるかとか教えてもらってなかったの。そしたら、明日もまたあるって言われたんだよ。全部で7回もあるんだって。私3、4回くらいかなと思っていたのに…テストのすぐ前まで試合ってことだよ!」
(「そこまでテストの勉強してないじゃん」っていう気持ちはまたまたグッとこらえる私w)

私「…そっか…でも、Hちゃん、ここからちょっと学べることもあるよね。今まで、なんでも頼まれるとやりたくなくてもやっちゃうとこよくあったでしょ。でも、最初になんか気が進まない時とかは、これからは断ってもいいんだと思うよ。もちろんやってみなきゃわからないことっていっぱいあるから、試してみることはいいことだと思うけど。」

この会話の間中、熱心に下の娘の話を聞いて、相槌を打っていたお姉ちゃん(この子も聞き上手w)は、これは先生のパワハラじゃない?っていう意見だった。私も、人間として「いやだったらいつでも辞めていいんだよ」と約束したなら、その約束は守るべきだし、その言葉を信じて気が進まなくてもとりあえず最初の試合まではやってみた娘の、大人に信頼を裏切られた気持ちをどうするのだろうかと思った。(しかも靴まで買ってね(泣))

誰が何をしようか?

翌朝、私は娘のために何をしてあげられるのか、迷った。16歳の娘は半分大人で半分子供だ。自分で何とかできることもいっぱいあるけど、大人が口を挟んだ方が上手く解決できることもある。いっそ、先生に私の一存で娘を辞めさせます、と一筆書いて娘に持たせようかとも思った。でも、その辺は私一人では決められず、娘がどうしたいか聞くことにした。

朝、起きてきた娘と話した。
PEQ「フットボールのこと、どうするの?…自分で何とかできる?」
娘「自分で先生と話してみる。」
PEQ「必要だったら、ママが手伝うこともできるんだよ。メール書くとかさ。自分でできるならいいけど。」
娘「自分で話すよ。」

へえ~強くなったもんだな、でも強がりじゃないのかな?と思っていたら、急に思いついたように娘は言った。
娘「ママ、今日学校休んでもいい?」
これには正直、拍子抜けした。
PEQ「いいけど、なんで休むの?」
娘「昨日の試合で疲れた。」

心の中では(ん?ちょっと逃げてる?それじゃ先生と自分で話してみるって言ったのはどうなるんだ?)と思ったが、うちでは「義務教育(15歳)を過ぎたら、学校のお休みは自分で決めていい」というルールになっている。今日だけダメってわけにはいかない。
PEQ「そう?もう休むかどうかは学校で大事なことがあるか考えて自分で決めるってことになっているから、私は学校にお休みを連絡するだけ。許可するかしないかとかは私が決めることじゃないから。自分で決めていいよ。」

と、建前を言ったものの、本音では、(自分で何とかするというなら学校に行って先生としっかり対決すべきなんじゃ?)という気持ちが強かった。でも、その場では何も言わず、私は仕事に出かけた。勤務先から学校に休みの連絡を入れた。

これって、「強制終了」?

自分の親がどうしたかなって考えると、多分わたしの母親だったら、無理にとは言わないけど、先生にちゃんと辞めたいとお願いするのが筋だと思うと言っただろう。休むだけでは何の解決にもならないんじゃない?とも言っただろう。それより何より、学校には行くべきで、病気でもないのに休むべきではないと言っただろう。そうやってきっと母ならこうしただろうなと言うのが、私の指針になっているから、この娘の取った行動、コンピュータなら「強制終了」とも言える、「学校を欠席する」という選択に、私は親として戸惑った。

「強制終了」は逃げなんだろうか?うちの娘は卑怯なんだろうか?私は彼女の行動をどう解釈するのがいいんだろうか?子供の気持ちに寄り添うことは大事だけど、子供の言い訳を100%聞くのはこの子の将来のためにいいことなんだろうか?

暫定的な方針

でも、ここまで来て私は改めて考え直した。よく考えてみたら、私だって「強制終了」、よく使っているんだよね。

世の中には話が通じない人がいる。何度も自分の意思を伝えたのに、向こうの一方的な主張ばかりで、少しもこちらの言い分を理解しようとしない相手がいる。そんな時に自分はどうしているのか?私も実は「強制終了」しているんじゃないか。「強制終了」は、話が通じない相手に自分の意思を明快に届ける手段なんだ。そして、自分の心を捻じ曲げて相手に合わせないための、防御策だ。これは卑怯ではない。力の弱い立場に立たされてしまった場合の、大事な戦略だ。子供は、どうしても弱い立場に立たされやすい。子供がこの手段を行使できることは、とっても大事なことだ。「逃げ」は卑怯ではなく、戦法なんだ。

家に帰ってから、私は娘に自分の気持ちを正直に伝えた。最初、学校を休むと言った時、先生と話すと言ったことと話が違うと思ってどう受け止めていいのかわからないと思ったけど、よくよく考えたら、学校へ行かないということも、先生に自分の意思を伝える方法の一つだと思った、と。先生には気持ちを理解してもらえなかったのだから、こういうやり方を使うのも仕方がないと考え直したと話した。

多分私とは違う考え方の人もたくさんいるだろうな、と思う。そして、私の中にも、絶対の正解はまだない。でも、今のところ、私の中では「強制終了」はありにしておく。

今日は月曜日。娘が「強制終了」後、初登校する日だ。先生との話し合いが今後どのように進むのか、娘の報告が楽しみだ。

本日のカバー写真 : 久しぶりに会った交換レッスンパートナーにもらった、約1カ月半遅れの誕生日プレゼント。彼女と私が大好きな『星の王子さま』のマグで、毎日お茶を飲んでいる。「大切なものは目に見えないんだよ」というこの本のテーマともなっている王子さまの言葉が書かれている。

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カナダ情報&モントリオール情報、フランス語情報など、週に一回程度、プラス他の方の経験談など折々投稿して、PEQの生の声を伝えていきたく思っています。もしこの情報を伝えてあげたいご友人やご家族がいたら、どうぞご自由にシェアしてください

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ABOUT ME
ちえ子
カナダ在住。モントリオールで日本語教師とゲーム業界での仕事の二足のわらじで活動中。高校生、大学生との親子留学→PEQ(ケベック経験プログラム)で永住権取得。TOEIC 960点、実用英語検定1級、フランス語公式テストTEFAQB2合格。過去にクアラルンプール(マレーシア)で通訳、ロンドン(英国)で商社勤務経験あり。趣味はジャズヴォーカル、City Pop(1970-1980年代日本のニューミュージック)、コメディ映画鑑賞。イチ推し芸人はオードリー若林さん。

POSTED COMMENT

  1. YUKI より:

    ご近所のYukiです。

    率直な感想。その先生、私が娘さんなら嫌ですわ。先生、メンバーが足りなくて、やたら滅多ら声かけて集めたんじゃ?メンバー足りなくなるから辞めて欲しくないんでは?とか勘ぐっちゃいます。

    強制終了は、各家庭毎の方針や子どもの性格にもよると思いますが、今回は気分をリセットする為、1日くらいなら良いかなっと。私も気分の乗らない日や「この授業いらないな。」と言う日は自己判断で休んでました。。。

    • ちえ子 より:

      ありがとう!学校休むことは、私も自己判断に任せたいの。今のところそれをいいことにサボりまくるとかは起きてないしね。あくまでも本人が今日は行ってもクラスが無いとか、そういうときに使う切り札なので。

      でもこの先生、ほんとにもうちょっと自覚持ってほしいな。マレーシアにいたから、教師が聖職だって感覚はとっくにないけどw (あちらもいろいろあるので)最低限、子供との約束は守ってほしい。

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