写真は、先日訪ねたRosemèreでのハロウィーンパーティから。ハロウィーンを昔ながらのスタイルで一家で演出して楽しむ家庭は年々減ってきており、このような形で前庭を飾ってお化け屋敷のようにしているご家庭には毎年1000人以上のビジターがあるらしい。こちらのご家庭では、以前にスーパーマーケットからスポンサーのオファーがあったそうだが、スーパーのロゴを入り口に出すのはしたくないので、お父さんが断ったそうだ。大企業に流されない、お金では買えない価値を信じている人がここにいたな、と感慨深い。
最近、フランス語の記事が続いて食傷気味なのでは、とは思うのだが、現実的に、PEQで留学してくる人たちにとって、一からフランス語を初めて一体なんとかなるのか?という心配は大変大きいと思う。フランス語がネックとなって、PEQのプログラムをあきらめている、という話もちらほら聞く。
そこで、この両立がどのくらい大変なのかを、私なりに説明してみようと思う。
私がとった道は以下の通りだ。
職業訓練コース :コンピューティングサポートコース 月曜日から金曜日 8:30am-3:30pm 2016年2月開始。おそらく2017年6月終了
フランス語コース :プライベートの語学スクール。
1.40時間X3レベル(本来は4レベル。私はまず他の学校で勉強した)
2.B1レベル 150時間
3.B2レベル 160時間
PEQのプラグラムで、職業訓練カレッジの学生となった場合、1800時間の授業時間を終了する必要がある。これは期間にしてざっと1年半。留学生対象のコースの場合は、夏休みも短縮されて、1年半が1年4か月程度になっているケースもある。ただし、この辺は割と流動的で、学校の都合により終了時期や開始時期に変更(主に遅延)があることもよく起こるようだ。とにかくこのディプロマ取得と、フランス語のB2というレベルの修了を合わせて、晴れてCSQの申請ができる。CSQとは、カナダの永住権を取得する一段階前の、ケベックセレクション(ケベックに選ばれし者達、なのかな 笑)のことで、PEQの場合はこれが早く出るから、永住権の手続き全体が早く終わるようである。
元々、B2というのはフランス語のDELFその他の公式テストのレベルの一つで、「日常生活で広く対応できる語学力をもち、一般的な話題に対して議論ができる。また興味がある分野では、抽象的な話題でも詳しく内容を理解でき、自分の意見を述べることができる。」という説明なので、相当やる気がなければ取得は大変だろうと思うのだが、そこが敷居が高すぎると気付いたケベック政府は、指定の学校でフランス語のコースを修了すれば、B2とみなしてくれる、という措置を取っている。これらの学校の中には、職業訓練のコースを行っているLester B Pearson や、English Montreal School Boardの様に、公立のカレッジが併設しているフランス語コースもあれば、街中の語学学校が政府の許可を得て開催しているコースもある。料金的には大差はないが、それぞれに一長一短がある。カレッジが開催しているコースは、2つのコースを同じ建物で受けられる場合がある。ただし、Lester B Pearson の場合は、フランス語はダウンタウンにクラスがあり、たまたま職業訓練がダウンタウンでない場合は、かなり無理な移動時間を割かなければならない。
Lester B Pearson で両方を勉強した友人たちに聞くと、先生の実力がバラバラだし、特にしっかりとした達成目標があるわけでもないようだ。そんな中でもやる気がある人はしっかり身に着けられる人もいるのだが、人によってはなかなか学習が進まず、レベル進級試験を不合格になって、同じレベルをやり直すことになる人も出ている。
私が行っているプライベートの語学学校でも、レベル進級の試験がある。こちらは、よほどのことがなければ、B1の手前のクラスくらいまでは大抵進級できることが多い。でも、B1から少し敷居が高くなり始める。知っている限りでは、12,3人のクラスのうち1,2人くらいはB1をやり直しているようだ。合格基準は最終テストで60%以上の成績を取ること。採点が甘いので、普通にクラスに出席していればまあ進級できる。この学校では、B1までは筆記プラス口頭の進級試験なのだが、B2レベルだけは、インタビュー形式の口頭試験のみ。それまでペーパテストだけでなんとかしてきた人たちは、この15分程度の1対1のB2進級インタビューで軒並み落第になった。なぜここだけそう違うのか、といえば、B1クラスまでは、プライベートの学校が雇った先生に教わるのだが、最後のレベル、B2だけは、政府の主催するクラスとなり、政府の先生がプライベートの語学学校に出張してきて行っている。しゃべれなければ落第になり、ここで、プライベートの学校から、追加の個人レッスンをお勧めされて、追加料金がかかる。現在の追加料金は1時間当たり40ドルらしい。16時間から20時間くらいの個人レッスンを受けて、再テストを受ける人が多いらしい。
私は5月初めからスタートして、途中クラスの変更で2週間ほど遅れたが10月いっぱいでB1までのレベルをなんとか終わらせ、今B2クラスにいる。つまり、B2のクラスまで6か月かかっている。B2は1日4時間X週5回の強行クラスで、2か月弱で終了する。つまり私は全部で8か月かかるわけだ。最初のレベルからだったら、9か月かかっていた。家では宿題以外をする時間は一切なく、ぎりぎりな感じだったが、とりあえず授業はほとんど出て今のところ落第は経験していない。
さて、二つのコースは両立可能か?ということだが、本当に大変だけれども、なんとかなる、というのが私の感想。昼間のクラスがどのくらい大変かにもよるが、私のフレンチに来ている他のコースを取っている子たちも1部の人を除いてなんとかしている。ただ、プライベートの時間は週末以外ないと思った方がいい。その状態で8~9か月続けられる人なら可能だ。また、どうしても両方一緒にが無理な場合は、フランス語を週末に持っていくことも可能。例えば土日に1日7時間のクラスも開講している。どちらが楽なのかは試していないのでわからないが、私は週末はしっかり休むことにしている。週末にフランス語を持っていくことで、平日の夜にちょっとしたイベントに参加したりできるかもしれない。趣味の習い事や集まりは平日に集中しているからだ。逆にコンサートなどのイベントは週末に多いが、クラスが昼間に終われば、その後夜に楽しみの時間を作ることも可能なのかもしれない。体力があればだけれど(笑)また、プライベートの語学学校の場合は、レベルごとに人が集まれば開講なので、途中できつくなったら一か月休む、などの柔軟な使い方ができるのがいいところだ。
私は一時期本当に何も頭に入らない状態の時があった。多分誰もが一度は経験するのだと思う。やはり短期に詰め込んでいるから、頭もついていくのが大変だ。でも、私はとにかくフランス語を先に終わらせてしまいたいがために、休むことなく続けてきた。
あと、英語がわかっていると、フランス語の助けになる。結構同じ語源の言葉が多いからだ。発音はかなり違うけれども、読むのはかなり助けられる。「英語ができていると英語に頼ってしまい、フランス語が伸びない」という意見もあるが、私は英語なしでスタートしていたらもっと時間がかかったと思う。英語を学んだことで、外国語学習のノウハウがある程度蓄積されるからだ。発音の違いを先に徹底的に学んでおくと、かなり有効だろうと思う。(私はこれが足りなかったため、今英語訛りの発音を先生に直されている。)
これから来られる方には、せっかくフランス語圏に来るので、話せる言葉が一つ増えることをポジティブに考えることをお勧めしたい。今その真っただ中にいる身としては、早くこの苦行(笑)を終わらせて、自分のペースで楽しくフランス語を再スタートするのを楽しみにしているけれど...
これから始める方、道は長いけどケベックからの言葉のプレゼントだと思って、ぜひフランス語をマスターしてみよう…(って、まだ人に言えるレベルではないけどね。)
ここまでの情報をしらべて、実践して、しかもまとめられる、ということにまず敬服します。
しかも一人じゃないし。(これは、独りでは萎えてしまうことも、乗り越えられる、というプラス面ももちろんありますが、もし、私が中国語圏の第3国で息子を連れて、自分のしたいことをする、ということでも躊躇するでしょう)
だから、とっても触発されるし、勇気付けられます。
MIMISNAILさん、温かいコメントをいただきありがとうございます。おっしゃる通りで、一人だったらもっと自分のやりたいことに集中できる、という面もあるのですが、一人じゃないから頑張れるというのは本当に大きいです。特に、娘は娘で新しい環境に慣れるまでの間、それなりの苦労をしてきたのを見ているし、彼女もここで色々な人に出会ってぐんと成長したんです。それを見ながら、自分ももう少し頑張ろうって思いながらこの10か月を夢中で過ごしてきました。また、ここにはまだ来ていませんが、残りの家族たちの励ましもたくさんもらってやってきました。それに、こちらにこのようにコメント残していただいたり、個人的に励ましのメールをいただいたりして、このブログもなんとか続けて来られました。多分私は周りの人とのかかわりの中から自分が生きる意義を見出す傾向がとても強い人間なんだと思います。
ところで、「中国語圏で、」とおっしゃるのは、中国語がお得意な方なんでしょうか?とても気になります。